産業保健における口腔保健について
お口の働きには消化器官の入り口として歯と筋肉・粘膜などが連携して咀嚼や、呼吸、発音や発声、審美性の維持(さわやかな笑顔と口元の美しさ)等さまざまな機能があります。
また唾液には口腔内の自浄作用や緩衝作用でウ触の予防や殺菌・抗菌作用があり、さらに含まれているアミラーゼ・マルターゼ・リパーゼなどの酵素が消化を助けます。空腹時に食べ物を見たり、咀嚼した時、唾液が大量分泌され、これにより食塊の形成や飲み込みがしやすくなります。嘔吐の際には苦みのある唾液が大量分泌され、水分を補給して排出しやすくするための防御的働きと考えられています。また最近の研究では発癌を抑制する作用があることが報告されています。それらが相まって口腔は精神の平静(メンタル)と密接な関係があり、イライラして歯ぎしりしたり、歯をくいしばったりした際にもその分泌が変化します。
咬み合わせが全身的な影響を引き起こすことが明らかになってきており、咬み合わせの不調和とストレスとが重なって顎の関節が痛くなったり、口が開かなくなったりというような、顎関節症や口腔心身症などの病気が増えてきています。
さらに全身との関連性では、咬み合わせが姿勢とも関係があり、咬み合わせのバランスが崩れ長い間片側でばかり咬んでいると背骨が曲がり、肩こり、手のしびれ等を訴えたり腰痛を起こしやすくなります。これらは作業効率を悪化させ、働く人の意欲を減退させて、大きな損失を生みます。近年の8020運動の成果として、歯が丈夫な人ほど、年をとっても元気で、脳が刺激を受け、長生きしておられます。
このように、口腔保健の分野は、単に歯だけでなく、歯ぐき、顎関節、容貌等美容の面、そして産業保健の分野でも大きな影響を与えているのです。
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